家事分担ができないことが原因で離婚する夫婦

フルタイムで同じだけ働き、同じだけ稼ぎのある共働き夫婦であっても、

やはり家事の多くを女性側が負担しているケースが目立ちます。

 

そんな家事分担比率に不満を持っている女性は、

そのことを理由に離婚したいと思っても、

決して不思議なことではありません。

 

人生100歳時代が当たり前となった今日、残された長い時間を

ずっと我慢と苦痛の中で生きていかねばならないとなると、

それではあまりにも酷な話だと言えるからです。

 

そこで今回は、共働き夫婦は家事分担がされないことを理由に

離婚できるか、離婚する場合気をつけたいポイントと、

引き返すことができないのかどうかについて、お話させていただきます。

 

そもそも離婚したいときに取り得る手段とは?

離婚を決意した時にやらないといけない事

日本の民法では、離婚する場合、夫婦で話し合って役所に離婚届を提出し、

受理してもらう協議離婚と、家裁で調停委員を交えて話し合ってする調停離婚、

裁判所で判決を下してもらってする裁判離婚の3つの方法があります。

 

実際に日本で離婚している夫婦のじつに87%以上が

協議離婚をしており、調停離婚は10%、残りの数%が裁判離婚をしています。

 

では、離婚について規定した民法の条文を見てみましょう。

 

■民法第770条

第一項

夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。

一 配偶者に不貞な行為があったとき。

二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。

三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。

四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。

五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

 

家事分担が行われないことによる離婚事由として、

五項の「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当すればいいのですが

判例上ではなかなかそのような判断はされません。

 

どちらかといえば、二項の「悪意の遺棄」

主張した方が妥当であると言えそうです。

 

いずれにせよ、まだまだ「家事分担」の重要性が認知されていないことから、

即座に離婚を成立させることは難しいと言えます。

 

ほかに検討に値する民法上の根拠条文はないの?

民法上の根拠条文

民法770条では、離婚せざるを得ない原因としてパンチが弱いとあれば、

その他に依拠とすることのできる条文はないのでしょうか?

 

民法の第752条には、夫婦の同居、協力及び扶助の義務が明文化されており、

その条文には「夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。」と明記されています。

 

すなわち、家事に全く協力せず、改善が期待できない場合、

夫婦の協力義務違反 に該当する可能性があります。

 

それでも、いきなり裁判離婚することはできませんので、

調停を開いて話し合いを持ったり、ある程度の時間的な猶予が必要となってしまいます。

 

現行の民法(家族法)は破綻主義を採用している!

家事分担を理由に離婚をするのは難しい?

ここまで読んでみて、

「なんだ、やっぱり家事分担を理由に離婚するのは難しいんだ」

と半ば諦めの気持ちになってしまった方には、まだ希望があります。

 

それは、「日本の現行民法が破綻主義を採用している」ということです。

 

破綻主義とは、婚姻関係が破綻している状態であれば、

離婚を認めるという考え方を意味する法律用語です。

 

つまり、家事分担によって家庭を維持することができていないだけでなく、

夫婦関係が冷え切ってしまっていれば、

それを根拠として離婚をすることができる可能性があるのです。

 

その場合でも、気をつけていただきたい点や、

検討しなければならないポイントがいくつかありますので、

次章でお話していきます。

 

実際に離婚することになった場合、気をつけておきたい注意点!

離婚するときに重要なのは別居期間

まず、破綻主義にせよ、

悪意の遺棄や婚姻を継続し難い重大な事由にせよ、

ポイントとなるのは「別居期間」です。

 

一緒に住んでいれば外形的には

家庭円満・夫婦関係も順風満帆であると思われてしまいますので、

その誤解を払拭する必要が出てきます。

 

夫婦生活の破綻を証明できる確実な方法が「別居」なのです。

 

別居するとなると何かと費用がかかってしまい躊躇してしまいそうにもなりますが、

「婚姻費用(別居中の生活費や養育費)」は、

きっちりと請求することができますのでご安心ください。

 

それに共働きであれば、ご自身にも収入があるので、

別居に対するハードルは比較的低くすることができるのではないでしょうか。

 

また、財産分与は夫婦2人の財産を分配することとなりますので、

財産の額によっては相手に持って行かれてしまうこともありますので、気をつけましょう。

 

とはいえ引き返す余地があるのであれば・・・

離婚をやめて話し合う夫婦

ここまで色々と離婚を積極的に勧めるようなお話をさせていただきましたが、

やはり引き返せるのであれば、元の鞘に収まることも大切なことです。

 

夫婦でじっくり話し合って改善策を考えてもいいですし、

それができそうにないのであれば第三者や

弁護士を交えて交渉してみてもいいかもしれません。

 

今では家事分担アプリなる便利ツールもありますので、

そういったものに委ねてみることもアリだと思われます。

 

家事分担以外に不満があるわけではないのであれば、

それだけを理由に離婚するのは少し物悲しいですよね。

 

しようと思えば離婚はいつでもできます。

 

したがって、今しかできない「やり直すこと」や「修復」に

目を向けてその努力をしてみてからでも遅くはないと言えます。

 

まとめ

いかがでしたか?

 

平成27年の厚生労働省調べによれば、

日本の離婚件数は一年間で22万件もあるのだそうですが、

8割以上の協議離婚の中に「家事分担」を離婚理由としている夫婦が

どれくらいいるのかは想像の域を出ません。

 

ただし、調停や裁判で離婚する場合、

「家事分担」を根拠として離婚が成立することはあまりないようです。

 

離婚は決して夫婦2人だけの問題ではありません。

 

周りの知人や友人、それに職場の方々、

大切なご両親やお子さんまでをも巻き込む結果となってしまいます。

 

離婚することによって、

愛すべき方々を悲しませることは、できることなら回避すべきです。

 

家事分担がされないことだけで離婚を決意することは、

くれぐれも慎重にならなければならないということが言えそうですね。

 

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